DRAM大手エルピーダメモリ社長を務めた坂本幸雄氏が中国・紫光集団の高級副総裁に就任した。国内のオフィスに最大100人程度の設計者を集め、中国・重慶市で量産するDRAMを設計する。日本の半導体産業の栄枯盛衰を知る坂本氏の起用からは、中国のDRAM国産化への執念が垣間見える。

「やるからにはトップ3に入らなければ」。中国の国有半導体大手の紫光集団の高級副総裁に就任し、日本法人のCEO(最高経営責任者)を務めることになった坂本幸雄氏はこう力を込める。
紫光は中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の母校である清華大学傘下の半導体企業。子会社の長江存儲科技(長江メモリー・テクノロジーズ)は半導体メモリーの一つ、フラッシュメモリーの中で高い技術力が求められる「3次元構造」の製品を開発していることで知られる。
紫光はDRAMにも触手を伸ばす。2019年6月に社内カンパニーを新設。同8月には内陸部の重慶市にDRAM量産工場を建設することで、同市政府と合意、DRAM事業の立ち上げを急ぐ。
日本でDRAMの回路設計
そんな紫光が白羽の矢を立てたのが坂本氏だった。坂本氏はNECと日立製作所、三菱電機のDRAM事業が合流したエルピーダメモリ(現マイクロンメモリジャパン)のトップを務めた。日本の半導体産業の栄光と挫折を知る。
紫光が坂本氏に託すのはDRAM設計部隊だ。日本法人に設計技術者を集め、20年春までに70~100人規模にする計画。坂本氏は「(エルピーダメモリを救済した)マイクロンをやめた人や、他社でかつてDRAMを手掛けていた人、台湾のDRAMメーカーにいる人などに来てもらいたい」と話す。
紫光のDRAM国産化から垣間見えるのは、中国側の執念だ。
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