2014年に日本が導入した再生医療の早期承認制度が批判されている。研究者の間で絶大なブランド力を持つ英科学誌の「ネイチャー」が批判の主だというから穏やかではない。著名科学誌だけに反響も大きいようで、当の再生医療製品を持つ企業は困惑を隠せない。

注:画像の出所はネイチャーのウェブサイト
注:画像の出所はネイチャーのウェブサイト

 事の発端は英科学誌「ネイチャー」が9月に掲載した記事だった。2014年に日本が導入した、再生医療製品を対象とする早期承認制度を厳しく批判する内容だった。

 早期承認制度は、治験で安全性が確認され、有効性が「推定される」データが得られた再生医療製品を条件・期限付きで承認し、市販可能にするもの。早期の治療を望む患者が保険診療の中で治療を受けられるようになり、再生医療の開発企業は早期の事業化が可能になる。

 この制度にネイチャーがかみついた。科学的に有効性が証明されたとは言えない製品に国がお墨付きを与えるのはいかがなものか、という趣旨だ。他国の制度にも影響するのではないか、とも問題視した。

 薬の有効性を調べるには通常、治療を受ける患者と、受けない患者を無作為に選び、両者のデータを比較する「ランダム化比較試験」を行う。同試験では比較するデータを得るために患者に偽薬を投与したり、偽手術を行ったりする。これには倫理的な問題があるとかねて指摘されてきた。患者数が少ない希少疾患にランダム化比較試験を行うのは物理的に難しい面もある。

 一方で、少しでも可能性があるなら治療を受けたいと望む患者もいる。だから早期承認制度では、医療機関を限定しつつ、まずは患者が治療を受けられるようにすることに主眼を置いた。

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