退社した元社員との交流組織「アルムナイ(同窓生)ネットワーク」が日本企業に広がり始めた。多くの企業は退職者を冷遇してきたが、人手不足で再入社への期待が高まり、協業相手としても注目を集めている。外部の経験と社内の知識を併せ持つ利点は大きい。高い能力と会社への愛着を持つ人材を掘り起こせるだろうか。

<span class="fontBold">堀義人氏(左から2人目)は「脱藩者のような扱いを受けてきただけに、呼ばれて驚いた」と話す</span>
堀義人氏(左から2人目)は「脱藩者のような扱いを受けてきただけに、呼ばれて驚いた」と話す

 多くの日本企業では、退社して転職したり独立したりした元社員は「裏切り者」との風潮が拭えず、関係が遮断される傾向が強かった。終身雇用に加え、人間関係を重視する職場が多かったためと言われる。こうした社風を見直そうとする動きが広がっている。

<span class="fontBold">総会は元社員100人が集まった</span>
総会は元社員100人が集まった

 「住友商事は変わった。戻ってこられて本当にうれしい」。9月末、東京・大手町の住友商事本社。グロービス経営大学院の堀義人学長は紅潮した顔であいさつした。

 1年以上の勤務経験がある元正社員の交流組織「SCアルムナイネットワーク」の第1回総会。約100人の元住商社員が駆けつけた。同社は「退職者に若干冷たかった」(幹部)と自認する。堀氏が起業したグロービスを大手商社が社員研修に使う中、住商は避けてきた。堀氏は「脱藩者のような扱いを受けてきただけに、呼ばれて驚いた」と話す。

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