相次ぐ大型台風の上陸など自然災害の多発で、太陽光発電事故に注目が集まっている。そもそも、保安基準が緩く、安全対策が十分でないとの指摘がある。国の固定価格買い取り制度が10年たち、節目を迎える中、いま一度、安全と普及のバランスを考え直す必要がある。

<span class="fontBold">各地で災害による太陽光パネル破損が相次ぐ</span>(写真=共同通信)
各地で災害による太陽光パネル破損が相次ぐ(写真=共同通信)

 「10年前には思いもしなかった」。太陽光パネルを手掛けるメーカーの関係者は、台風などの自然災害で太陽光パネルが破損するリスクの高まりに驚きを隠せない。つい最近も2019年9月上旬に上陸した台風15号が千葉県市原市の水上メガソーラーのパネルを破損させた。その際に飛び散った火花が原因とみられる火災も発生した。

 17年度の電気保安統計年報を基にした経済産業省の資料によると、14年度に8件だった太陽光発電設備の事故件数は17年度には89件に増えている。気候変動で巨大台風が当たり前になるといわれる中、太陽光発電施設の事故リスクは今後も高まりかねない。

 所管する経産省は手をこまぬいていたわけではない。電気事業法で定める設置基準を18年に改定、太陽光パネルの風に対する耐久性基準をそれまでの2倍超に引き上げた。シャープが日本工業規格(JIS)が求めていない風圧試験を実施して強度を高めるようにするなど、独自の対策を取るメーカーも出てきた。

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