菅原一秀・前経済産業相に続き河井克行・前法相が辞任し、1週間で2閣僚が辞める異常事態となった。相次ぐ閣僚辞任の背景には政権長期化による危機管理能力の低下や緩みがあり、与党内からも批判が噴出する。2人の入閣を後押しした菅義偉官房長官への逆風が強まっており、安倍晋三首相の後継レースにも影響しそうだ。

<span class="fontBold">菅原氏(左)と河井氏(右)は「菅銘柄」と評されていた</span>(写真=2点:共同通信)
菅原氏(左)と河井氏(右)は「菅銘柄」と評されていた(写真=2点:共同通信)

 「国民の皆様の信頼を回復して、しっかりと行政を前に進めていくことで責任を果たしていきたい」

 10月31日、安倍晋三首相は河井法相の辞任と、後任に森雅子氏の起用を表明した後、神妙な表情でこう語った。

 河井氏の辞任は前日の30日に週刊文春の電子版で報じられた疑惑がきっかけだった。河井氏の妻の案里氏が7月の参院選広島選挙区で初当選した際、陣営が運動員に法定の上限を超す日当を支払ったなどとする内容だ。

 これを受け、安倍首相は河井氏の更迭を即断し、31日朝に河井氏が首相に辞表を提出する段取りが決まった。この日は午前10時から参院法務委員会が予定されていた。国会出席直前の辞任劇は10月25日に辞表を提出した菅原氏と同じパターン。野党に国会で追及する機会を与えないことで、政権へのダメージを最小限に抑えたい安倍首相の思惑が透ける。

 だが、わずか1週間で2閣僚が辞任する異例の事態は政権には痛手だ。国会は与野党の対立ムードが強まり、日米貿易協定承認案の審議などに遅れが出ている。憲法改正に向けた国会論議の機運もしぼみつつある。衆院憲法審査会は10月31日、与野党の実質的議論を約半年ぶりに再開する予定だったが、河井氏の辞任で流会した。

 さらに、2020年度の大学入学共通テストでの英語民間試験の活用見送りを11月1日に発表したのも、政権の動揺を食い止めたいとの思惑が背景にある。「導入を強行すれば政権への批判が強まりかねないとの首相官邸の危機感が決め手となった」と自民幹部は話す。

 相次ぐ閣僚辞任と政権運営への悪影響に対し、野党だけでなく与党内からも批判が続出している。9月の内閣改造で初入閣は菅原、河井氏を含む13人に上り、菅氏や岸田文雄政調会長、麻生太郎副総理・財務相と二階俊博幹事長の希望に配慮した人事が目立った。

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