「メルセデス・ベンツ」などドイツ勢が席巻する輸入車市場で「ジープ」の伸びが目立っている。既存オーナーを巻き込んだブランド戦略で指名買いを促し、販売台数は9年で10倍になった。「自己表現としての車」に特化する戦略は、コモディティー化の波が迫る自動車産業の一つの道筋を示している。

<span class="fontBold">今年8月に富士山麓で開催されたジープのオーナーイベント</span>
今年8月に富士山麓で開催されたジープのオーナーイベント

 欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)のSUV(多目的スポーツ車)「Jeep(ジープ)」が輸入車市場で躍進している。2019年9月の登録台数は前年同月比63%増の1986台となり過去最高を記録。車名別ランキングでスウェーデンの「ボルボ」を抜き「メルセデス・ベンツ」などドイツブランドに続く6位に入った。18年度の販売台数は9年前の約10倍。「日本でアメリカ車は売れない」との通説を覆している。

 「ジープ以外の選択肢は頭に浮かばなかった」。東京・世田谷区に住む50代男性はこう語る。日本メーカーも相次ぎSUVの新型車を出す中、ジープは指名買いの状態を作り出し国産車から顧客を奪っている。

 要因の一つが振り切ったブランド戦略だ。サーフィンやスノーボードなどアウトドアスポーツの世界大会に協賛するほか、日本では「フジロック」などの野外音楽イベントにも出展。アウトドア好きな顧客との接点を徹底的に増やしている。

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