理化学研究所が100%出資子会社の「理研鼎業(ていぎょう)」を設立した。産学連携やベンチャー支援などで基礎研究の成果を社会に還元し、得られた資金を理研に還流するのが役割だ。その姿は戦前の「理研コンツェルン」をほうふつとさせる。自主的な財源確保で、「科学者の楽園」は再興するか。

理研鼎業(ていぎょう)は、理化学研究所の知的財産権の管理やライセンシング、ベンチャーの設立支援に加え、企業との共同研究のコーディネートなどを手掛ける。要するに、理研が生み出す研究成果を社会還元する窓口になるとともに、その収益を理研に還流する役割の組織だ。
国立研究開発法人の理研は、物理学、化学、数学、生物学など自然科学全般の研究を手掛け、論文の引用数ではトップクラスの国立大学に引けを取らない。学術情報などを扱うクラリベイト・アナリティクス・ジャパン(東京・港)が発表した「インパクトの高い論文数分析による日本の研究機関ランキング2019年版」では、東京大、京都大に次いで3位に入る。
基礎研究のレベルは高いのに、十分な社会還元ができる体制になっていない──。京都大学の総長を経て2015年4月に着任した松本紘理事長の目にはそう映ったのだろう。13年に成立した産業競争力強化法により、国立大学法人にはベンチャーキャピタルへの出資が認められ、国立研究開発法人でも、科学技術振興機構(JST)などには研究成果に基づくベンチャーへの出資が認められてきた。ところが、理研は民間企業に出資することが法律上認められていなかった。
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6/20ウェビナー開催、「『AIバブル』の落とし穴 ChatGPTリスクとどう向き合う」

近年、ChatGPTをはじめとする生成AI(人工知能)の進化と普及が急速に進み、私たちの生活やビジネスに革新をもたらしています。しかし、注意が必要なリスクも存在します。AIが誤った情報を生成する可能性や倫理的な問題、プライバシーの侵害などが懸念されます。
生成AIの利点をどのように理解し、想定されるリスクに対してどのように対処するか。日経ビジネスは6月20日(火)に「『AIバブル』の落とし穴 ChatGPTリスクとどう向き合う」と題したウェビナーを開催します。日経ビジネス電子版にて「『AI新時代』の落とし穴」を連載中の米シリコンバレーのスタートアップ企業、ロバストインテリジェンスの大柴行人氏を講師に迎えて講演していただきます。
通常の日経ビジネスLIVEは午後7時に開催していますが、今回は6月20日(火)の正午から「日経ビジネス LUNCH LIVE」として、米シリコンバレーからの生配信でお届けします。ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。
■テーマ:「AIバブル」の落とし穴 ChatGPTリスクとどう向き合う
■日程:6月20日(火)12:00~13:00(予定)
■講師:大柴 行人氏(ロバストインテリジェンス共同創業者)
■モデレーター:島津 翔(日経BPシリコンバレー支局 記者)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス、日経クロステック、日経クロストレンド
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員は無料となります(事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)
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