厚生労働省の10月4日の発表によると、沖縄県など6県でインフルエンザが流行の目安を超えている。例年より早いインフルシーズンの到来に製薬業界も対応を急ぐが、治療薬市場の勢力図は変わるかもしれない。昨シーズン、トップシェアの塩野義製薬の「ゾフルーザ」が失速するとみられているからだ。

<span class="fontBold">インフルエンザの患者数は年間約1000万人と市場は大きい</span><br />(写真=shutterstock)
インフルエンザの患者数は年間約1000万人と市場は大きい
(写真=shutterstock)

 冬場の病気のイメージが強いインフルエンザが、早くも流行の兆しを見せている。厚生労働省の10月4日の発表によると、流行の目安を超えているのは沖縄県や鹿児島県、佐賀県など6県。前週発表時点で入っていた東京都は抜けたものの、「今年は例年に比べて、流行入りする時期が早まっている可能性がある」(感染症の専門家)。原因は定かではないが、海外旅行客の増加などが指摘されている。

 医療現場で強まる警戒。出番が早まるインフル治療薬に注目が集まるが、見逃せないのは市場での勢力図に変化が起きそうなことだ。

 インフル治療薬の国内市場は中外製薬の「タミフル」と第一三共の「イナビル」、塩野義製薬の「ゾフルーザ」の3剤で全体の約8割を占める。中でも2018年3月に発売したゾフルーザは、「1回飲むだけで効く」という手軽さから昨シーズンに需要が急増。予想の約2倍となる263億円を売り上げ、一時は工場を24時間稼働させても生産が追いつかないほどだった。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り829文字 / 全文1390文字

【春割/2カ月無料】お申し込みで

人気コラム、特集記事…すべて読み放題

ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「時事深層」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。