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日本経済の先行きに不透明感が強まっている。景気の先行指標とされる工作機械の受注見通しは下方修正。10月1日の消費増税も重荷になる。「いざなぎ景気」を超える長期にわたって拡大してきた日本経済。底割れさせないためには3つの条件がある。

米中貿易摩擦の影響で、中国経済が減速。日本から中国への輸出額も8月まで6カ月連続のマイナスに陥っている(写真=ユニフォトプレス)

 「8月が底だが、9月以降も停滞した動きが続くだろう」。9月26日、都内で記者会見した日本工作機械工業会の飯村幸生会長(東芝機械会長)は厳しい表情だった。

 同工業会がこの日発表したのは、2019年の受注額見通し。年初には1兆6000億円になると予想していたが、これを1兆2500億円に下方修正した。18年実績に比べると約3割減ることになる。ここまで落ち込むのはリーマン・ショックが響いた08年(約2割減)、09年(約7割減)以来だ。

 省人化ニーズをとらえて、好調を維持してきた産業用ロボット業界も息切れ感を隠せない。日本ロボット工業会によれば、19年4~6月期の国内出荷台数は前年同期比2.5%減と9四半期ぶりのマイナス。「人手不足対応のためにロボット導入を検討する中小企業があっても、金融機関からの融資を得られずに断念するケースも出てきた」と業界関係者は嘆くが、「景気の先行きに不透明感が増しているのだから、仕方がない」と金融機関幹部はにべもない。

 経済指標の悪化が続いている。財務省発表の8月の輸出額は前年同月比で8.2%減。中でも中国向けが12.1%減と6カ月連続のマイナスだ。輸出低迷は生産にも及ぶ。経済産業省が9月30日に発表した8月の鉱工業生産指数は前月に比べて1.2%低下した。

 消費も振るわない。内閣府によれば、消費者心理を示す消費者態度指数(2人以上の世帯、季節調整値)は17年11月をピークに下げ基調にある。

 ビール大手首脳が「景気の変調を予感させる」と注視するのは、居酒屋での需要低迷だ。実際、キリンビールの「一番搾り」の1~8月の販売数量は居酒屋での消費が多い瓶製品が前年同期比8%減、たるも同6%減った。缶製品は2%増えていることから、節約志向による「家飲み」シフトが進んでいることをうかがわせる。

 日本経済に漂う暗雲。だが、減速は今に始まったことではない。そもそも資本ストックの蓄積から国内の設備投資は19年には調整局面に入るとの見方があった。昨年後半からはスマートフォンの世界的な販売不振を受けたハイテク業界の在庫調整もあり、製造業では収益環境が悪化。加えて、米中摩擦による中国経済の減速や、英国による欧州連合(EU)離脱問題などが重しとなっている。

日経ビジネス2019年10月7日号 12~14ページより目次