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消費者の食事の機会を奪い合ってきたコンビニエンスストアと大手外食チェーン。目前に迫る消費増税は、コンビニには追い風となり、外食は逆風にさらされる。軽減税率やポイント還元などの「官製」の複雑な仕組みが、市場競争をゆがませかねない。

 9月18日、セブン-イレブン・ジャパンは都内で秋冬商品の展示会を開いた。電子レンジで温めるだけで食べられる商品を次々に発表した高橋広隆執行役員商品本部長は「価格競争をするつもりはない」「増税を考慮して商品の考え方を変えることはなかった」と話した。

 しかし、ライバルの外食は額面通りに受け止めていない。レンジの加温時間を短縮する新容器を使ったかき揚げそばのほか、「チーズソースを絡めて食べる焼ブロッコリー」といった戦略商品の発売日は多くが10月だ。外食大手の目には自社と競合すると映った。

 消費増税はかねて「コンビニに追い風、外食に向かい風になる」とみられてきた。来年6月末までキャッシュレス決済の客に政府負担でポイント還元する策もコンビニが恩恵を受ける。国内コンビニの9割以上を占めるFC(フランチャイズチェーン)店の大半が決済額の2%還元の対象となる中小企業または個人経営だ。大手3社はその場で代金から差し引く「ポイント即時充当」で対応し、直営店でも自社負担でポイントを付与する。

 一方、外食はコンビニに比べFC比率が低く、企業規模も小さいことから自社負担も難しい。ポイント還元がある店と無い店の混在は消費者の混乱を招くと判断して多くが参加を見送った。外食の中ではFC比率が高い日本マクドナルドホールディングスはFC店の大半の約2000店がポイント還元に参加するが、やはり直営店は実施しない。制度がコンビニ優位に傾いている。

 外食が危機感を強めたのは5月だった。客がコンビニのイートインスペースで食べる場合は10%課税になるが、日本フランチャイズチェーン協会は会計時に店内飲食を自己申告した場合に限って適用し、原則として店員は尋ねない方針を公表。外食でもテークアウトや出前は食品の購入と見なして軽減税率となるものの一般的に客の多くは店内で飲食するため10%課税となる。

 セブン-イレブンの展示会にみられるようなコンビニの機動的な動きも際立ってきた。外食は主力メニューの多くが定番で変化をアピールしにくい。コンビニは協力会社と良い商品を開発すれば迅速に投入し、他業界との競争に対応しやすい。店舗数が多いため決済会社と割引キャンペーンに取り組みやすく、廃棄ロス対策として実質値引きでの販売も進めている。消費者を取り込むあの手この手の対策が打てる。

 セブン-イレブンは中食を強化した新型店舗を1年前から出店している。弁当や総菜のチルドケースを増設し、冷凍食品も増やした。平均日販は従来店より3%近く上昇。来年2月末までに国内店の半数の1万店を新型店に変更する。ファミリーマートやローソンも総菜や冷食を強化中だ。かねての中食攻勢に自己申告のみの10%方針、ここに来ての新商品、そして10月1日からのポイント還元と、コンビニは4段階で外食に攻め込んでいるように映る。

日経ビジネス2019年9月30日号 14~15ページより目次