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ホンダが相次いで海外生産体制の見直しに動いている。英国工場の閉鎖に続き、8月にはアルゼンチンでの生産停止、9月にはメキシコでの工場集約を発表した。二輪車を足掛かりに海外拠点を拡大してきた「現地化優等生」に、需要低迷と貿易摩擦という誤算が生じている。

ホンダに生産撤退の撤回を求める現地の従業員(今年3月、英ロンドンで)(写真=ロイター/アフロ)

 「人員削減は500人規模。地元の自動車産業がなくなってしまう」──。経済危機に直面するアルゼンチンの現地メディアはこう騒ぎ立てた。ホンダが8月、現地の四輪車生産から2020年に撤退する決断を下したためだ。

 ホンダがアルゼンチンで四輪車の生産を始めたのは11年。当時の大統領の肝煎りプロジェクトだった。工場の生産能力は年間3万台と自動車の生産ラインとしては規模は小さいが、二輪車の工場を四輪車に転用することで進出可能となったホンダならではの工場といえる。現地生産を始めてから10年以内で撤退を決めた背景には、深刻な販売低迷がある。

 ホンダは20年3月期の四輪車の世界販売を前年同期比3%減の516万台と見込む。19年4~6月期の販売台数を見ても、稼ぎ柱の米国がセダン市場の縮小により前年同期比4%減。前年同期比3割を超える伸びだった中国や軽自動車が好調な日本を除けば苦戦している。南米向けの輸出拠点だったアルゼンチン工場も年間1万台程度の生産が続き稼働率が低迷していた。

英国にトルコ、メキシコ……

新興国だけでなく日米の主要工場も対象に
●ホンダの四輪車生産の能力縮小の動き

 「25年に18年比で10%のコスト削減をする」。ホンダの八郷隆弘社長は四輪車事業に大ナタを振るうべく、社内に大号令をかけている。

日経ビジネス2019年9月23日号 14~15ページより目次