トヨタ自動車とスズキが8月28日、資本提携で合意したと発表した。独禁法対応など交渉過程ではハードルもあったが、資本提携がゴールとの鈴木修会長の思いは揺るがなかった。大手の庇護(ひご)を求めた38年間の紆余曲折の末、修会長は90歳を目前にやっと安寧の地にたどり着いた。

「内々定」から3年、待ちわびた「内定」をもらえた。スズキにとり、トヨタ自動車との資本提携合意はこう言い表せるだろう。2016年秋に業務提携の検討を発表してから3年、鈴木修会長にとって本当のゴールが訪れた。
資本提携していた独フォルクスワーゲン(VW)とけんか別れしたのが15年。膨大な研究開発費を必要とするCASE時代を見据え、世界中の自動車メーカーが連合を組み始めるなか、「独り身」になったスズキの行方は焦点だった。
豊田章一郎氏と「あうんの会話」
「中小企業のおやじ」を自任する修会長は、生き残りには大手の傘下に入ることが必要というのが持論。16年9月、トヨタの豊田章一郎名誉会長の元を訪れ提携を頼み込んだ。ともに創業家出身で日本の自動車産業をけん引してきた。トヨタの豊田章男社長曰く「このお二方が話し合われるのは歴史と次元が違う。2人だからこそのあうんの会話」。すぐに業務提携の検討が始まった。
「あうんの会話」には「資本」のニュアンスも含まれていた。スズキが09年にVWと資本提携を決めた時、章一郎氏は修会長に「VWはやめておけ」と助言していた。修会長は後に「章一郎さんの言う通りだった」と悔やんだが後の祭り。VWとたもとを分かって再び章一郎氏の元を訪れた修会長。お互い、提携のゴールが何かは分かっていた。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1944文字 / 全文2647文字
-
【締切迫る】初割で3月末まで無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
【初割】月額プランが3月末まで無料
人気コラムも、特集もすべての記事が読み放題
ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題
日経ビジネス最新号、11年分のバックナンバーが読み放題
この記事はシリーズ「時事深層」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
2/27開催 「成長と所得の好循環は起こせるか? 西村経済産業大臣と議論」

脱炭素やデジタルトランスフォーメーション(DX)、経済安全保障など、日本の経済社会や企業の経営環境には大きな変革の波が押し寄せています。いずれの分野も官民連携が欠かせず、適切な経営判断や消費者の行動変容には法制度や政府の政策の大枠、方向性をつかんでおくことがますます重要となっています。
日経ビジネスLIVEでは2月27日(月)18時から、「成長と所得の好循環は起こせるか? 西村経済産業大臣と議論」と題して、日本が今後進むべき成長の道筋や政府の取り組み方針などについて聞くウェビナーを開催します。ウェビナー後半では視聴者の皆様からの質問もお受けし、議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。
■開催日:2023年2月27日(月)18:00~18:40(予定)
■テーマ:「成長と所得の好循環は起こせるか? 西村経済産業大臣と議論」
■講師:西村康稔氏(経済産業大臣)
■モデレーター:安藤毅(日経ビジネス編集委員)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)
Powered by リゾーム?