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2001年9月11日に発生した米同時多発テロは、18年が経過した今も米国を苦しめ続ける。「毒の粉塵」が時限爆弾のごとく消防士や警察官の体をむしばみ、政府が払う賠償額は膨らむ一方だ。来年に五輪を控える日本が今、米国の経験から学ぶべきことは何か。

同時多発テロの跡地にある碑。記念館のスタッフが犠牲者の誕生日に白い花をたむける

 「恥を知れ!」──。人気コメディアンのジョン・スチュワート氏による米連邦議会下院の公聴会での証言が米国で話題になっている。同氏が今年6月に涙ながらに訴えたのは、2001年9月11日に発生した同時多発テロで真っ先に現場で人命救助にあたった「ファーストリスポンダー」と呼ばれる消防士や警察官などへの賠償金の支払いだ。大勢の当事者が議会に足を運んだのとは対照的に、議員の参加はまばらだった。そんな議員に対してスチュワート氏が放った怒りの言葉だった。

 テロの対象となったワールド・トレード・センターにはがれきの山と共に危険なほこりがまん延していた。そのほこりを吸い込みながら人命救助にあたった消防士や警察官たちは今も深刻な健康被害に苦しむ。その数は現時点で7万人以上に膨らみ、うち700人以上が呼吸器や消化器の病で、600人以上ががんで亡くなっている。

 スチュワート氏に付き添い自らも証言した元警官のルイス・アルバレズ氏も、2週間後にがんで死亡した。ファーストリスポンダーたちは救済者であると同時に被災者でもあったのだ。