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独バイエルが、買収した米モンサントに対する巨額賠償請求で苦境に陥っている。事業売却やリストラを急ぐが、株価は買収前の水準を大きく下回ったままだ。米国の訴訟文化に対する理解が足りず、買収時にリスクを軽視した可能性がある。

独バイエルのバウマンCEOは米モンサント買収を事業構造改革の総仕上げと位置づけていた(写真=永川 智子)

 ドイツの医薬・農薬大手、バイエルが事業の売却やリストラを急いでいる。動物用医薬品事業を手がける米エランコ・アニマルヘルスに動物向け医薬品事業を総額76億ドル(約8000億円)で売却すると8月20日に発表したほか、7月にフットケア事業の売却で米投資会社と合意。一方、大規模なリストラにも着手しており、全従業員の1割に当たる1万2000人の削減を打ち出している。

 バイエルが事業売却や人員削減を進めるのは、米国企業の大型買収でつまずいたからだ。それは、2018年6月に実施した米種子大手モンサントの買収だ。投じた金額は630億ドル(約6兆7000億円)にも及んだ。

 買収完了直後に本誌のインタビューに応じたヴェルナー・バウマンCEO(最高経営責任者)は、「買収により農薬・種子事業で世界最大手になる。両社は補完関係にある」と語り、買収戦略に自信を見せていた。