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アジアでは日本の漫画のファンの裾野が広がっているが、その多くは海賊版サイトの利用者だ。海賊版では最新話がすぐに翻訳されて出回るため、正規の単行本や電子書籍を読む動機がないのが現状。スマートフォン向けに1話ごとに「バラ売り」するなど、現地の読者に合わせたコンテンツの届け方が課題だ。

タイの出版社が発行している「ワンパンマン」のタイ語版

 インドネシアのある大学で、日本の文化を紹介する講義が開かれた。「自分の好きな漫画のキャラクターを描いてみて」と促されると、学生が「ドラえもん」や「ドラゴンボール」などのキャラクターを描いていく。その中にやや意外なものがあった。集英社のウェブサイトで連載中の「ワンパンマン(ONE PUNCH‐MAN)」の主人公「サイタマ」だ。

 ワンパンマンは、どんな相手も一撃で倒せる力を持つ主人公が仲間と共に怪人を退治するというヒーロー物語。設定の面白さやキャラクターデザインなどが人気を集め、日本国内の発行部数は2000万部を超えている。

 その人気は東南アジアにも波及している。「ワンピース」や「名探偵コナン」といった超有名な作品以外にも、日本のコンテンツのファンの裾野が広がっていることを示している。だが手放しで喜べないのは、人気の火付け役が海賊版であるためだ。

 「翻訳版がネットで無料で読めるので本を買う人は少ない」。インドネシアの学生はこう話す。ワンパンマンの単行本はインドネシア、タイ、ベトナムの3カ国語に翻訳され書店で売られているが、電子書籍化はされていない。そもそも東南アジアでは書店数が少なく、若者を中心に漫画はスマートフォンで読む習慣が根強い。