日本が再び成長するための一手を読者とともに考える「目覚めるニッポン」。

まずは日本を取り巻くファクト(事実)を正しく理解する必要がある。 ベストセラー『FACTFULNESS』の共著者、アンナ・ロスリング・ロンランド氏に話を聞いた。

<span class="fontBold">アンナ・ロスリング・ロンランド氏。『FACTFULNESS』の共著者で統計情報をビジュアル化するGAMPMINDERの共同創立者。スウェーデン生まれ</span>(写真:藤村 豪=DreamMovie)
アンナ・ロスリング・ロンランド氏。『FACTFULNESS』の共著者で統計情報をビジュアル化するGAMPMINDERの共同創立者。スウェーデン生まれ(写真:藤村 豪=DreamMovie)
既に人口減少は始まっている
●過去30年の日本の総人口の推移
既に人口減少は始まっている<br/><small>●過去30年の日本の総人口の推移</small>
出所:GAPMINDER.ORGのフリー素材を基に編集部作成(CC-BY LICENSE)
[画像のクリックで拡大表示]

著書『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』では、人々が世界のファクト(事実)をいかに誤って認識しているかを分かりやすく指摘し、ベストセラーになっています。そこでまず、このグラフを見てください。日本の人口推移を示しています。ついに減少に転じており、多くのビジネスリーダーが危機感をつのらせています。ロスリングさんはこのグラフから何を読み取りますか。

 こうしてデータを基に議論するという姿勢こそ、ファクトに基づいて正しく世界を見る習慣を身に付ける「ファクトフルネス」ですね。人々が共通の認識に立って行動を起こす上での最初のステップになります。

 確かに、人口減少は日本が直面している最も大きな問題の一つでしょう。高齢者が増えて多額の社会保障費が必要になる一方、それを支える労働人口が減っていくわけですから。

 しかし、その一方でこのチャートを見てください。横軸に所得水準(1人当たりGDP=国内総生産、購買力平価、インフレ調整済み)、縦軸に平均寿命をとったものです(バブルの大きさは総人口)。あなたも私も、最も裕福な国々のグループ(レベル4)に住んでいます。世界の国々と比較すれば、私たちはグラフ右上の隅っこにいるんです。GDPが減少し始めたとしても、依然として世界の中で最も裕福な状況に変わりはありません。

日本は最も裕福な国に入る(レベル4)
●世界各国の寿命と所得(ドル)、総人口の関係
日本は最も裕福な国に入る(レベル4)<br/><small>●世界各国の寿命と所得(ドル)、総人口の関係</small>
出所:GAPMINDER.ORGのフリー素材を基に編集部作成(CC-BY LICENSE)
[画像のクリックで拡大表示]

 今、日本経済が停滞している一方で、レベル1〜3の国々は急速に豊かになってきています。それを国家間、企業間の競争と捉えれば、私たちの競合相手になり始めていると言えます。

つまり、「経済の勝ち負け」で世界を捉えれば、自分たちの経済的優位性が脅かされ、負けてしまうかもしれないと恐れてしまうわけですね。

 私たちが「将来への絶望」を感じるのは、自分中心の局所的な文脈でこうした変化を捉えるからです。しかし、所得水準が低い国々に住む人たちは、これまでとても厳しい時代を過ごしてきました。その人たちが、レベル4の世界に上がって来られる可能性があることを理解する必要があります。彼らを貧しい世界にとどめておくべきではありません。多くの国がグラフの右上へ動いていくと世界は変化しますが、それは私たちにとってもいいことです。

次ページ マインドセットを変えよう