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世界的な株安など、激化する米中貿易戦争によって金融市場は揺れている。米中ともに自国通貨安を志向する中、円高が進む日本に打てる手は限られている。

ダウ平均が2カ月ぶり安値になるなど、金融市場は混乱(写真=AP/アフロ)
11年ぶりの元安水準に
●人民元の対ドル為替レート

 米中貿易戦争の激化は、米国はじめ世界の金融市場を不安定化させている。引き金は8月5日に起こった人民元安だ。対ドルで7元台まで下落したことが、中国政府の元安容認と受け取られた。対中関税の「第4弾」への対抗策なのではという見方が広まり、対立が深刻化するとの懸念から市場は一気にリスクオフモードとなった。

 トランプ政権は関税引き上げのカードをちらつかせることで中国から譲歩を引き出し、貿易交渉を有利に進めようとしたとみられる。だがマーケットはむしろ、関税引き上げによる実体経済の悪化を懸念した。今回の大幅下落を「トランプの誤算」と見る向きが多い。

 米政治に詳しい中部大学の酒井吉廣教授は、対中関税「第4弾」を機に市場が混乱したのは「トランプ政権のミス」と言い切る。「今後交渉において何らかの合意を出すか、合意が近いということをツイッターなどで伝えない限り、市場下落は収まらないのでは」と見る。