世界的な株安など、激化する米中貿易戦争によって金融市場は揺れている。米中ともに自国通貨安を志向する中、円高が進む日本に打てる手は限られている。

米中貿易戦争の激化は、米国はじめ世界の金融市場を不安定化させている。引き金は8月5日に起こった人民元安だ。対ドルで7元台まで下落したことが、中国政府の元安容認と受け取られた。対中関税の「第4弾」への対抗策なのではという見方が広まり、対立が深刻化するとの懸念から市場は一気にリスクオフモードとなった。
トランプ政権は関税引き上げのカードをちらつかせることで中国から譲歩を引き出し、貿易交渉を有利に進めようとしたとみられる。だがマーケットはむしろ、関税引き上げによる実体経済の悪化を懸念した。今回の大幅下落を「トランプの誤算」と見る向きが多い。
米政治に詳しい中部大学の酒井吉廣教授は、対中関税「第4弾」を機に市場が混乱したのは「トランプ政権のミス」と言い切る。「今後交渉において何らかの合意を出すか、合意が近いということをツイッターなどで伝えない限り、市場下落は収まらないのでは」と見る。
[コメント投稿]記事対する自分の意見を書き込もう
記事の内容やRaiseの議論に対して、意見や見解をコメントとして書き込むことができます。記事の下部に表示されるコメント欄に書き込むとすぐに自分のコメントが表示されます。コメントに対して「返信」したり、「いいね」したりすることもできます。 詳細を読む