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アジアなど新興国にも波及

 5日までに出そろった自動車各社の19年4~6月期決算で、為替の想定を変えたのはトヨタのみ。「トヨタは欧米ともに新型車が好調で21年3月期も収益拡大が期待できる」(国内証券)との声が聞かれるなか、あえて今後の収益環境を厳しく見立てて社内の危機感を醸成する狙いも透けて見える。

 米中市場は既に減速している。世界一の市場の中国の新車販売台数(中国国内生産分、工場出荷ベース、商用車・輸出含む)は19年1~6月で前年同期比12.4%減の1232万3000台。同2位の米国も7月まで7カ月連続の前年割れになったもようだ。

 5日に19年4~6月期の連結決算を発表したSUBARU(スバル)の営業利益は前年同期比48%増の922億円。20年3月期通期の予想(2600億円)に対する進捗率は35%に達したが、通期予想を据え置いた。岡田稔明取締役は「米国での販売は好調だが、費用面は不確定。為替も大きく動きかねない」と慎重な姿勢を崩さなかった。

 さらに自動車各社の収益への打撃となりそうなのが新興国市場への影響だ。スズキが5日に発表した19年4~6月期の連結営業利益は前年同期比46%減となった。主力市場インドの四輪車販売台数が同20.2%減と低迷。通期予想は据え置いたが、「今後の見通しは厳しい。新たな予想をどこかの時点で公表したい」(同社の長尾正彦取締役)と業績下方修正は必至だ。

 1ドル=7元台に下落し米財務省から「為替操作国」に指定された中国・人民元の動きがきっかけとなり、米中間の貿易摩擦が新興国も巻き込んだ通貨安競争に発展する懸念も膨らんできた。トヨタの下方修正は、世界の自動車市場に「総崩れ」が近づきつつあることへの警笛ともいえそうだ。

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日経ビジネス2019年8月12日号 17ページより目次