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トヨタ自動車が円高を理由に2020年3月期の連結業績見通しの下方修正に踏み切った。トランプ米大統領が対中制裁関税の発動を表明し、外国為替市場ではリスク回避の円高が進む。米中に加え新興国市場の減速も懸念されており、トヨタの動きは「トランプ発世界不況」への警笛とも読める。

「環境変化は激しい」とトヨタの吉田守孝副社長(右)(写真=共同通信)
   

 「為替など取り巻く環境変化は大変激しく大きい」。2日の決算会見でトヨタの吉田守孝副社長はこう述べた。トヨタは同日、2020年3月期の連結営業利益(米国会計基準)見通しを期初時点の前期比3%増の2兆5500億円から3%減の2兆4000億円に下方修正した。

 理由は円高だ。通期の想定為替レートを1ドル=106円、1ユーロ=121円と期初想定からそれぞれ4円、円高方向に見直した。対ドルで1円の円高が営業利益を400億円押し下げるとされるトヨタ。今回の想定レートの見直しは営業利益見通しを1800億円押し下げる。

 円高の背景にはトランプ大統領の発言がある。トランプ大統領は9月に対中制裁関税の第4弾を発動すると表明。発動すれば、ほぼすべての中国製品が対象となる。中国経済の減速が世界に波及するとの懸念がリスク回避の円買いを誘ったことで、5日には円相場は1ドル=105円台の7カ月ぶりの円高水準に突入した。

 さらにトランプ大統領は、7月末に10年半ぶりに利下げに踏み切った米連邦準備理事会(FRB)にも「口先介入」により大幅な金融緩和を要求している。FRBがさらなる利下げに踏み切るようなら、1ドル=110円前後と自動車メーカーにとって心地よかった円相場の水準は、ドル安円高側で定着することになりかねない。

日経ビジネス2019年8月12日号 17ページより目次