セブン&アイ・ホールディングスは7月1日に開始したスマホ決済「7pay」のサービス終了を発表した。不正利用発覚後、セキュリティー強化策を講じた上での再開を目指していたが断念し、利用者への返金を決めた。資金決済法を背景に、一時的な停止を選べず、完全な「廃止」を余儀なくされた。

<span class="fontBold">記者会見にはセブン&アイHDの後藤克弘副社長(左から2人目)らが登壇した</span>
記者会見にはセブン&アイHDの後藤克弘副社長(左から2人目)らが登壇した
 

 セブン&アイ・ホールディングスが8月1日に発表した内容を一言で表すと、スマホ決済サービス「7pay(セブンペイ)」の何もかもをやめてゼロにするというものだった。7月1日に始めたサービスを9月末で終え、未使用の残高は順次払い戻す。少なくとも7payという名で、今の仕組みを骨組みとしたサービスは完全に姿を消す。

 「『一時停止』はできず、一旦業務を『廃止』する選択肢しかなかった」。セブン&アイ幹部は日経ビジネスの取材にこう話している。社内で検討した結果、システムに万全なセキュリティー対策を施すには半年から1年ほどもかかる可能性があると分かったことが、サービスを廃止へと追い込んだ。

 現在は入金不可で支払いにしか使えない状態でサービスを続けている。社外の専門家を交えて対策チームを立ち上げた7月5日の時点では、これを維持しながらセキュリティー強化を進め、入金も含めたサービスを全面再開するシナリオを描いていた。

 しかし、8月1日に「廃止」を発表した記者会見でセブン&アイの後藤克弘副社長は「セキュリティーを抜本的に見直すシステム改修に取り組むと相応の時間がかかる。7payがお客様の信頼を失っていることもある。廃止やむなしとの結論に至った」と話した。支払いのみのままダラダラとサービスを続けるのはいかにも印象が悪く、消費者に不誠実に映ると判断したようだ。数週間ならともかく、6カ月以上という時間軸ではグループのブランドを毀損し続けてしまうという懸念も生じていた。

次ページ 再参入には未練