「2020年に4000万人」という目標に向け、順調に数を伸ばす訪日観光客。その需要取り込みにホテルや外食産業などが激しく競争する中、新たな障害も見え始めた。人手不足への対応に頭を悩ませる一方で、円高の進展や日韓関係の悪化など懸念材料が台頭している。

日本経済の「新たな稼ぎ手」として期待を集めるインバウンド(訪日外国人)ビジネスだが、その足を引っ張りかねないハードルが顕在化してきた。
日本政府観光局(JNTO)によると2019年上期(1~6月)の訪日外国人客数(推計値)は1663万3600人と、半期としては過去最高を記録。下期もこのペースで推移すれば、通年でも18年の3100万人を超えるのは確実とみられる。政府が掲げる「2020年に4000万人」という目標に向け、順調に数を増やしているが、労働需給の逼迫で必要な働き手が確保しにくくなっている。
顕著に表れている場所が、夏の人気リゾート地、沖縄県だ。18年の同県の観光客数は980万人と過去最高に達した。訪日客の増加を当て込み、県内各地でホテルや商業施設の開業が相次ぐ。地元経済の底上げに寄与する一方、人手の供給が追い付かなくなっている。
「マネジャークラスからホテルの清掃員まで、上から下まで人材の取り合いが激しい。ベッドメイキングなどの人員が確保できず、沖縄のホテルでは稼働率を70%程度に抑えているところもある」。カヌチャベイリゾート(沖縄県名護市)の白石武博社長は人手不足のせいでビジネスチャンスを逃している現地の事情を説明する。
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