米アップルが米インテルから移動通信用の半導体部品事業を買収することを発表した。高速通信規格5G向けの部品を、アップルが自ら設計・開発しiPhoneなどに搭載する可能性が高まった。同分野での特許を巡る訴訟で和解した米クアルコムに対する、アップルの反撃の狼煙とも言える。

米アップルがまた有力な半導体技術を手に入れた。同社は7月25日、米インテルのスマートフォン(スマホ)向けの通信半導体事業の大半を買収すると発表した。2200人ほどの従業員と1万7000件以上の知的財産、設備などがアップルに移る予定だ。買収額約10億ドルは2014年に買収した米ビーツ・エレクトロニクスの30億ドルに次ぐ規模だという。
今回の買収はかねて噂されており、今年4月に現実味を帯びていた。通信半導体を巡り、アップルが米クアルコムとの一連の特許訴訟を取り下げることに同意。ほぼ同時期に、インテルが高速通信規格5Gの開発を中止することを明らかにしていた。
アップルが5G用半導体の調達先として見込んでいたインテルの動きが、クアルコムとの和解に至った背景にあることは想像に難くない。5G通信機能をいち早くiPhoneに搭載するために、和解を選んだと言えよう。
クアルコムに屈したかのように見えるアップルだが、今回の買収は反撃の狼煙(のろし)とも受け取れる。もともとアップルは特許ライセンスと半導体の取引が不当であるとしてクアルコムを提訴しており、アップルや同社の機器を製造受託する企業からクアルコムへの特許ライセンス料が未納だった。
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