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米中貿易摩擦などの影響もあって、2019年4~6月期業績で減益決算が相次ぐ製造業。そんな環境下で、日立ハイテクノロジーズや東京エレクトロンなど半導体装置大手が積極投資にかじを切る。好不況を繰り返すのが半導体業界の常とはいえ、各社の強気の投資は市況回復のシグナルなのか。

(写真=MirageC/Getty Images)

 「増産にしっかり対応できるようにしておく」。こう言い切るのは、日立製作所系の半導体製造装置大手、日立ハイテクノロジーズの桜井真司執行役常務CFO(最高財務責任者)だ。7月24日、300億円を投じて茨城県ひたちなか市に新工場を建設すると発表した。竣工は2021年2月の予定。シリコンウエハー上に形成した微細な線や穴の寸法を測定する測長装置や、微細な形状を観察する電子顕微鏡の生産能力を引き上げる。

 半導体製造装置大手が相次ぎ、積極投資にかじを切っている。東京エレクトロンは20年3月期に560億円の設備投資を計画する。過去最高だった前の期と比べて13%の増額。シリコンウエハーを切断する装置などを手掛けるディスコも20年3月期の設備投資額は過去最高となる250億円になる見通しだ。

半導体の市況に惑わず積極投資に踏み切る
●国内の半導体製造装置メーカーの投資状況

足元の需要はさえないが……

 もっとも、足元の半導体需要はさえない。国際半導体製造装置材料協会(SEMI)は7月、19年の半導体製造装置の世界販売額見通しが前年比18%減の527億ドル(約5兆7000億円)にとどまる見通しだと発表した。18年末時点の予想(596億ドル)からの下方修正だ。20年の世界販売額も18年末予想の719億ドルから588億ドルへと大幅に引き下げた。

 もともと半導体業界には好不況を繰り返す「シリコンサイクル」がある。自動車やデータセンターなど、半導体の用途が広がる中で、需要が伸び続ける「スーパーサイクル」に入ったとの見方もあったが、世界の半導体市場は昨年4~6月期から調整局面に入り、米中貿易摩擦の影響もあって供給過剰感が出ていた。