日産自動車は7月25日、2019年4~6月期の連結営業利益が前年同期比98.5%減の16億円だったと発表した。元会長時代の拡大路線を見直し、世界で約1割にあたる1万2500人を削減するが、逆風は止まらない。英国の合意なき欧州連合(EU)離脱の可能性が高まる中、同国にある巨大工場が次のリスク要因に浮上する。

<span class="fontBold">日産が英国に持つサンダーランド工場(左)は合意なきEU離脱により大きな打撃を受ける。西川社長(右上)は厳しい判断を迫られる</span>(写真=上:AFP/アフロ)
日産が英国に持つサンダーランド工場(左)は合意なきEU離脱により大きな打撃を受ける。西川社長(右上)は厳しい判断を迫られる(写真=上:AFP/アフロ)

 「サンダーランド工場の雇用に影響があるのか」──。日産の決算発表と同日の7月25日、英議会ではボリス・ジョンソン新英首相に対し、日産が英東北部に持つ同工場についての質問が飛んだ。ジョンソン首相は「今のところ影響はない。サンダーランドは日産の中でも効率が高い工場だ」と語るにとどめた。

 英国にとり、約7000人の雇用を抱え同国最大の自動車生産能力を持つサンダーランド工場の重要度は高い。金融業の発展で成長した首都ロンドンと製造業が衰退した地方との経済格差が広がっている。ホンダが21年中に英国生産からの撤退を表明する中、サンダーランド工場は地方経済や雇用維持の点で象徴的な存在とも言える。サンダーランド在住のフローレンスさん(30代)は、「日産の工場が縮小されたら失業率が高まり治安が悪くなる」と不安を隠さない。

 日産の欧州事業は瀬戸際に立たされている。ディーゼル車の販売強化などの戦略ミスが響き、19年3月期の欧州での販売台数は前年同期比14.9%減の64万3000台。19年4~6月期も同16.3%減と落ち込みが止まらず、営業損益は114億円の赤字と主要地域で唯一の赤字となった。昨年11月のカルロス・ゴーン元会長の逮捕などによるブランドイメージの悪化も否めない。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1669文字 / 全文2367文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「時事深層」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。