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天候不順の影響で、エアコンや日焼け止め、アイスクリームなど夏場に売れるべき商品が売れていない。気象庁の予想では、向こう1カ月は平年並みの天候になりそうで、販売回復への期待が高まる。それでも「夏場の書き入れ時」が短くなった面は否めない。冷夏の影響はどこまで残るだろうか。

ビックカメラ新宿西口店のエアコン売り場の客足は鈍い

 7月半ばの東京・新宿にある家電量販店「ビックカメラ新宿西口店」。6階のエスカレーターのすぐそばのエアコン売り場の客足が鈍い。「6月以降、販売が落ち込んでいる」。同店で家電アドバイザーを務める横田晃一朗氏は明かす。

 6月の梅雨入り以降、顕著になっている天候不順が、消費の現場に異変をもたらしている。東京都心では7月前半に最高気温が30度以上の「真夏日」が33年ぶりにゼロに。6月28日から7月18日の日照時間は平年の14%だ。日照不足は全国的な傾向で、九州などでは大雨の被害も相次ぐ。

 家電メーカー担当者の表情はさえない。三菱電機の担当者は「(7月20日までの)直近1週間の販売は前年実績の半分程度」と話す。シャープの担当者も「エアコンと扇風機の7月の販売は厳しい」と打ち明ける。

「UV対策」の意識高まらず

青果物にも影響が(写真=共同通信)

 家電に限らない。天候不順で青果物の発育が遅れ、東京都中央卸売市場ではキュウリやナスの入荷量が減少、価格が上がっている。7月12日から同18日のデータを見ると、群馬県産ナスの価格は前年同期より7割弱も高い。

 ある中堅ドラッグストアチェーンの担当者も「虫よけや虫刺され薬、制汗剤、日焼け止めなど、夏場に売れる商品が総じて不振」と指摘する。

 全国のドラッグストアと食品スーパー計約6000店、累計5000万人分のPOS(販売時点情報管理)データを分析するトゥルーデータ(東京・港)のデータが物語る。6月24日から7月7日の商品別販売額は、日焼け止めで前年同期比23.6%減、制汗防臭剤が同22.9%減、冷却シートや冷却スプレーなどは同38.6%減っている。

 日焼け止め効果の高い化粧品を扱う大手メーカーの担当者は「今年はプールなどレジャーに行く人も少なく、UV対策への意識が低下しているのかもしれない」と分析する。

 「梅雨寒」はビールの消費にも影を落とす。サントリービールの6月の出荷量は前年同月比で5%減。「出荷日が前年に比べて1日少なかったこともあるが、6月下旬の低温傾向も影響している」と担当者は明かす。

 アイスクリーム各社も苦戦気味だ。赤城乳業(埼玉県深谷市)では、7月1日から同19日の売り上げが前年同期比で2割以上減少した。「ミルク味の高価格帯商品は好調だが、ガリガリ君などの氷菓系が伸び悩んでいる」(マーケティング担当者)。明治や森永乳業といった大手も「気温の影響を受け昨年に比べて芳しくない」と口をそろえる。

日経ビジネス2019年7月29日号 16~17ページより目次