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自動車生産の一大拠点であるタイで、初の国産EVメーカーが誕生した。現地市場に合わせたEVを投入。充電用インフラも整えて世界の巨大メーカーに対抗する。日米欧資本が完成車工場を置いてきた東南アジア。EV転換を好機と捉え、国産化を急ぐ動きが相次いでいる。

タイ企業、エナジー・アブソルートが量産を計画する5人乗りEV「マインSPA1」

 世界で加速するEV(電気自動車)へのシフトが、東南アジア最大の自動車生産拠点であるタイにも産業構造の変革を促している。1960年代から日系を筆頭に世界の完成車メーカーの投資に頼って成長してきたが、EVを自社開発して完成車市場に打って出ようとする現地企業が現れた。

 「タイ初の国産自動車メーカーという夢は、いずれ誰かが挑戦すべきもの。その一歩を我々が踏み出す」。こう語るのは、再生エネルギー事業で急成長したエナジー・アブソルート(EA)の創業者で、CEO(最高経営責任者)のソムポート・アフナイ氏だ。

 3月に開いた域内最大の自動車展示会、バンコク国際モーターショーで同社は初の国産EV「マインSPA1」を発表。これまでに1000台を超える予約を集めた。バンコクの複数のタクシー組合が関心を示し、3500台のSPA1を優先供給していくことでも合意している。

 最大で年1万5000台を生産できる工場をバンコク近郊に建設中で、早ければ年内に稼働する見通し。来年には電気を蓄える「セル」容量換算で1ギガワット時の電池生産能力を持つ工場も完成する。最終的に50ギガワット時の能力まで広げる計画で複数の大手企業と出資について交渉を進める。実現すればパナソニックが米テスラ向けに構える「ギガファクトリー」を上回る。