全1519文字

かんぽ生命の保険を乗り換える際、保険料の二重徴収など、不適切な販売をしていた事案が多数発覚した。問題が常態化していた背景には、同社の商品特性や、保険販売員の給与体系の変更も関係していたとみられる。2900万件に上るすべての保険契約を確認する方針だが、構造的な問題にも目を向ける必要がある。

多数の不適切販売発覚を受けて謝罪するかんぽ生命、日本郵便の経営陣(写真=東洋経済/アフロ)

 「問題発覚後、局内のミーティングでこれまでの保険の売り方について安易に漏らすなというお達しがあった」

 千葉市内の郵便局で保険の営業を担当する日本郵便の社員はこう話す。「問題」とは、かんぽ生命保険で契約者の不利益につながる事案が多数見つかった不祥事にほかならない。この社員は、土日も返上して訪問営業をしていたというが、しばらくはその必要がなくなりそうだ。不適切な保険販売を受けて、かんぽ生命および保険販売を受託する日本郵便が、8月末まで養老保険や終身保険、学資保険を含むすべての保険商品の勧誘自粛を決めたからだ。

 今回、不適切な保険販売を生むきっかけとなったのが「前3後6」と社内で呼ばれる規定だ。保険契約を持つ顧客が新たな保険に乗り換える場合、新契約を結ぶ3カ月前から契約後6カ月の9カ月間に旧契約を解約すると、その契約は「新規」にはならず「乗り換え」と判断される。その際、保険販売員に支払われる手当は「新規」に比べ半分になるルールだった。