花王傘下のカネボウ化粧品は欧州など40カ国以上で展開する高級ブランド「SENSAI」を日本に“逆輸入”する。中級価格帯が多い花王の製品群では、高級品を好む中国を中心とした訪日客の需要を捉えきれないと判断した。日本で売り込み、中国への輸出も狙う。日本は巨大なアジアの化粧品市場を攻略する展示場と化しているようだ。

<span class="fontBold">日本への関心が高い消費者を狙う。写真はカネボウの村上社長</span>
日本への関心が高い消費者を狙う。写真はカネボウの村上社長
 

 SENSAIは1983年から欧州でカネボウが展開する最上位ブランド。中核製品の価格は1万8000円で、ソフィーナなど5000円前後の中価格帯が多い花王グループの中では異色だ。現地ブランドが強い欧州で日本勢は長く苦戦してきたが、SENSAIは日本古来の最高級シルクを配合した魅力が支持され、中東にも販路を広げて今では海外40カ国以上で販売している。

 小田原工場(神奈川県小田原市)で生産しており、全量を輸出してきた。9月から国内販売網を通じて各地に流通させる。海外専用ブランドを日本に持ち込むのは珍しい試みで、化粧品業界では“逆輸入”として話題になっている。

 インバウンド需要に加え、アジア市場で日本製化粧品のリピート客が増えていることが背景にある。特に1本数万円の高価格帯化粧品の需要は伸び続け、中国市場で人気の資生堂やコーセーは日本国内に工場を新設するなど、需要増に応えようと積極投資を続けている。

 コーセーの高級ブランド「コスメデコルテ」の国外売上高は2019年3月期に680億円と前の期比5割増えた。日本観光の際に購入した中国などの消費者が繰り返し使用しているためだ。資生堂も同じ流れで高価格帯の最優先策、プレステージファースト戦略を掲げている。日本百貨店協会によると化粧品の売り上げは50カ月連続のプラス。爆買いは終わったのに売り上げが伸び続けるのは、インバウンドが高価格品を購入しているため。それが輸出に好影響を及ぼし、18年の化粧品の輸出額は5460億円と6年前の4倍、2年前の2倍になった。

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