安倍晋三首相は7月の参院選に合わせて衆院を解散する衆参同日選の見送りを決めた。参院選単独でも与党が堅調に議席を確保できるとの分析を踏まえ、衆院の議席を減らすリスクを回避。政権側が吹かせた「解散風」で与党陣営は引き締まり、野党は参院選対策に集中できなかった。

<span class="fontBold">数少ない見せ場のはずの党首討論は盛り上がりに欠けた</span>(写真=つのだよしお/アフロ)
数少ない見せ場のはずの党首討論は盛り上がりに欠けた(写真=つのだよしお/アフロ)

 「自民党の若い衆院議員ではぜひやってほしいという声は多いが、冷静な判断をしなければならない」

 安倍晋三首相は衆参同日選について6月22日の読売テレビ番組でこう述べ、明確に否定した。

 くすぶり続けた衆参同日選の観測。最終的に見送りになるまで曲折もあった。春の統一地方選後の今回の参院選に自民党では「選挙疲れ」への警戒感が強まっていた。

 局面の打開には参院選を何かに挑む攻めの構図にする必要がある──。安倍首相が当初念頭に置いたのがロシアと北方領土問題で交渉を前進させ、その是非を衆参同日選で問うシナリオ。政権幹部らからこうした見方が流され、安倍首相本人も可能性を示唆していた。

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