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米フェイスブックが2020年のサービス開始を表明した独自通貨「リブラ(Libra)」に世界が揺れている。全世界で24億人の月間利用者数を誇る「国家」が独自通貨を発行するのに等しいのだから無理もない。そうした中で、既存の金融機関は「9000万」という数字に注目する。リブラの影響度を測るこの数字の意味とは。

「刺激的な旅の始まり」と語った米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(写真=背景:Chesnot/Getty Images、ザッカーバーグ氏:Bloomberg/Getty Images)

 米フェイスブックが2020年に開始すると表明した仮想通貨「リブラ(Libra)」に各国の規制当局が相次いで反応を示している。

 「潜在的な利点と潜在的なリスクがある」。現地時間6月19日、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でリブラについて問われた米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はこう述べた。フランスのルメール経済・財務相も現地メディアに対し「消費者にリスクがないことを確認する必要がある。消費者を保護する国家としての責務だ」とけん制した。

 フェイスブックの月間利用者数は全世界で24億人。「いわば世界最大人口を誇る国家」(金融関係者)による独自通貨発行の表明に、各国当局が神経をとがらせるのも無理はない。

 フェイスブックが発行を予定するリブラはブロックチェーンを基盤技術に用いた仮想通貨で、法定通貨と一定比率で交換できる「ステーブルコイン」の一種。需給バランスで価格変動が起きる「ビットコイン」などの仮想通貨と比べて価格の安定が見込めるため、決済や送金手段として使いやすい。

 リブラとともに発表されたスイス・ジュネーブに本拠地を置く非営利団体「リブラ・アソシエーション」に名だたる企業が加盟していることからも、フェイスブックが用意周到に準備を進めてきたことは明らかだ(次ページの表)。

日経ビジネス2019年7月1日号 14~15ページより目次