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経営が失敗したら、それまで得ていた役員報酬を強制返還させる──。そんな仕組みの導入を武田薬品工業の株主が提案している。欧米では実際に強制返還させられた経営者もいるが、日本で根付かせるには日本ならではの「壁」がある。

ウェバー社長はシャイアー買収で今後の成長戦略に自信を見せているが……(写真=西村尚己/アフロ)
 

 6月27日に開催予定の武田薬品工業の定時株主総会に注目が集まっている。武田OBの株主ら約130人でつくる「武田薬品の将来を考える会」が、巨額損失の計上など、経営の失敗の責任を過去の役員報酬を強制返還させることで負わせる「クローバック条項」の導入を提案しているためだ。考える会のメンバーで創業家一族の武田和久氏は「経営がアクセルを踏みすぎないためにも、導入を検討すべきだ」と訴える。

 考える会が同条項の導入を促すきっかけになったのが、今年6兆2000億円を投じたアイルランド製薬大手、シャイアーの買収だ。巨額を投じながら武田の成長に結び付けられなかった際の経営陣の責任を明確にする狙いだ。

 この株主提案に対し、武田は「取締役の経営判断が不必要に保守的になる」と反対の姿勢を表明している。可決には出席株主の3分の2以上の賛成が必要で、導入のハードルは高いが、議決権行使助言会社の米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)が賛同しており、一定の賛成票が集まる可能性はある。