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EV(電気自動車)大手、米テスラの株価下落が深刻だ。4日に反発するも、3日には年初に比べ4割安となった。黒字化が遠のき、資金繰りへの懸念が広がったことで、テスラを支援してきた投資家が離れ始めている。イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)の経営者としての能力にも疑問符が付き始めている。

マスクCEOへの市場からの逆風も強まっている(写真=Bloomberg/Getty Images)

 「テスラを救う唯一の方法は、破産申請で現在の資本をいったん消滅させることだ」。6月3日に株価を年初の4割安となる178.97ドルに急落させた米テスラ。複数のアナリストに理由を聞くと、こんな回答をしてきた人物がいた。調査会社ナビガントリサーチのモビリティー担当主任研究アナリスト、サム・アブエルサミド氏だ。

 株価急落のきっかけは、4月にテスラが発表した2019年1~3月期決算だ。7億213万ドル(約760億円)の最終赤字となり、借入金は長短期合わせて約115億ドルと1年で約7億ドル増えた。さらに5月初旬に新株発行などで20億ドル超の資金調達計画を発表し、資金繰りへの懸念が広がった。

 テスラの業績不安は今回が初めてではないが、これまでと違うのは長期投資家が離れ始めていることだ。米大手運用会社のティー・ロウ・プライスは18年11月にテスラ株の10%を保有していたが、今年に入ってから徐々に株を売却し、1%未満まで減らした。

 こうした投資家は、かつては斬新な発想と経営スピードを併せ持つテスラの将来性を買っていた。創業16年で世界最大のEVメーカーになれたのも、マスク氏のビジョンに優れた人材や力のある投資家が共感してきたためだ。