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売れ筋商品であるファーウェイ製スマホが発売延期となり、大手に支払う回線使用料は期待ほど下がらず──。角逐が激化する米中対立の余波を受けるなど、格安スマホ陣営に思わぬ誤算が相次いでいる。大手3社による寡占市場の打破を期待されて久しいが、苦悩は深まっている。

(写真=共同通信)
ファーウェイ日本法人が新型スマホを披露(上)した翌日から携帯大手や格安スマホ会社が相次ぎ販売延期を発表

 格安スマホ陣営が相次ぐ誤算に頭を抱えている。

 「顧客が華為技術(ファーウェイ)の端末を安心して使い続けられるとの確信を持てなかった。社内に『大手が売らない端末をうちが扱って大丈夫か』と心配する声も多かった」

 がっくりと肩を落とすのは、ある格安スマホ大手の幹部。今夏の商戦で目玉になるはずだったファーウェイ製の新型スマートフォン(スマホ)の販売が延期に追い込まれたからだ。

 米トランプ政権がファーウェイへの禁輸措置を決定したことを受け、同社の新端末の取り扱いをやめる動きが携帯大手や格安スマホ会社に広がっている。OS(基本ソフト)「アンドロイド」を提供する米グーグルが、ファーウェイに対して一部ソフトの供給を制限する可能性があることを示唆したことで、こうした動きが広がった。

 ファーウェイ日本法人が都内で最新モデルの「P30」シリーズをお披露目したのは5月21日のこと。ところが、翌22日に事態が急転する。NTTドコモとKDDI(au)、ソフトバンクの大手3社が販売延期や予約受け付け中止を決定。これを受け23日、楽天モバイルやインターネットイニシアティブ(IIJ)などの格安スマホも続々、同様の措置に踏み切った。

 全社横並びなら同じ条件に見えそうだが、打撃が大きいのは格安陣営だ。なぜなら、新型のiPhoneという強力な商品を持つ大手への対抗上、高機能ながら割安なファーウェイのスマホが大きな武器となるはずだったからだ。

 実際、ファーウェイ製品を支持する顧客は多い。調査会社のMM総研(東京・港)によると、格安スマホ会社が主に扱うSIMフリーと呼ばれる端末の国内出荷台数のうち、ファーウェイは98万7000台でシェア3割を占め、首位だった(2018年4月~19年3月)。2位のiPhone(18.5%)や3位の台湾のエイスース(18.2%)を引き離す。

 そんなファーウェイの新型端末が販売できなければ、戦略が大きく狂う。しかも、大展開を前提に端末は仕入れたばかり。格安スマホという薄利のビジネスモデルの中では経営の重荷になる。

日経ビジネス2019年6月3日号 18~19ページより目次