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トランプ米政権が5月15日、安全保障上懸念がある企業の1社に中国・華為技術(ファーウェイ)を追加した。ファーウェイへの米国の製品や技術の供給を事実上禁じたことになる。だが、ファーウェイは強気の姿勢を崩さない。同社と取引を続けるか否か。日本企業はファーウェイ問題が差し出す踏み絵に向き合わざるを得ない。

米国の禁輸措置はファーウェイ製品の販売にどこまで影響を与えるのか(写真=VCG/Getty Images)

 行き詰まる貿易交渉で譲歩を引き出したいトランプ米政権が中国に新たな揺さぶりをかけた。5月15日、米国からの製品や技術の輸出を事実上禁じる「エンティティー・リスト(EL)」に中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)を追加すると発表した。インテルやクアルコムなど米企業から半導体やソフトウエアの供給を受けるファーウェイのスマートフォン(スマホ)や通信機器の生産が立ち行かなくなる恐れがある。

 だが、ファーウェイの任正非CEO(最高経営責任者)は強気の姿勢を崩さない。「米国のメーカーが半導体を売ってくれないのならそれでいい」。一部メディアの取材にこう答え、事業は継続できると主張してみせた。

傘下の半導体企業の実力

中上位機種
「エンジョイ9プラス」

 自信の背景には、同社が1991年に設立した半導体部門がある。2004年には海思半導体(ハイシリコン)として独立。半導体製造を外部に委託する「ファブレス」型の半導体メーカーで、台湾の調査会社トレンドフォースによれば18年の売上高は503億元(約8000億円)だった。中国のファブレス半導体メーカーで断トツのトップだ。

 ファーウェイはハイシリコンの半導体をどの程度、採用しているのか。年間数百台もの機器を分解して内部の部品を解析するテカナリエ(東京・中央)の清水洋治CEOによれば、「少なくともスマホでは重要な半導体のほとんどがハイシリコン製」と指摘する。

 例えば、18年秋発売の中上位機種「エンジョイ9プラス」。心臓部のCPU(中央演算処理装置)だけでなく、通信用半導体を含め主要半導体はすべてハイシリコン製。さらに指紋センサー用やタッチパネル制御用では他の中国メーカー製を使っている。エンジョイ9プラスが搭載する半導体のうち「約7割をハイシリコンなど中国メーカーが占める」(清水氏)。

スマホ内の半導体の7割が中国製
●ファーウェイのスマホにおける半導体メーカーの推計
日経ビジネス2019年5月27日号 14~15ページより目次