政府は、2019年に1兆円としている農林水産物・食品の輸出目標を引き上げる。相手国の“非関税障壁”問題などについては、関係省庁が連携し「オール日本」で対応する。日経ビジネスが開いた創刊50周年フォーラムで、菅義偉官房長官が明らかにした。

<span class="fontBold">菅氏は「オール日本」で農林水産物の輸出拡大を目指す考えを示した</span>(写真=新関 雅士)
菅氏は「オール日本」で農林水産物の輸出拡大を目指す考えを示した(写真=新関 雅士)

 「守る農業から攻める農業に転換する。安全性や高品質といったことを考えると、これからさらに大きな目標を掲げて取り組んでいきたい」

 菅義偉官房長官は22日、日経ビジネスの創刊50周年を記念して開かれたフォーラムに登壇し、政権運営や経済政策について講演。農林水産物・食品をめぐり、2019年に1兆円としている現在の輸出額の政府目標を、今後引き上げる考えを示した。

 輸出拡大に向けては、相手国の検疫や食品安全規制への対応が課題の一つ。例えば、米国や欧州連合(EU)加盟国に牛肉を輸出する場合には、国際基準である「危険度分析による衛生管理(HACCP)」に基づく衛生管理体制を導入することが条件になる。しかし、17年度時点でHACCPを導入済みの食品製造業者は全体の2割程度にとどまる。政府は6月にまとめる成長戦略に、食品製造業者のHACCP導入比率を飛躍的に高めることを盛り込むなどして、輸出拡大の環境を整備する方向で検討している。

 相手国の検疫や食品安全規制をクリアするための手続きが煩雑(はんざつ)で、いわば“非関税障壁”となっているケースもある。また香港や中国、台湾などの8カ国・地域では東京電力福島第1原子力発電所の事故に伴う日本産食品の輸入停止措置がなおも継続している。

 こうした課題解決に向け、菅氏は「オール日本の態勢で農林水産品の輸出を徹底して行っていく」と述べ、農林水産省と、検疫や食品安全規制を担当する厚生労働省などとの連携を強化する考えを示した。

次ページ 健康寿命延伸にインセンティブ