人手不足で慢性化した物流危機が、食品業界のサプライチェーンも脅かしている。メーカーは共同配送といった対策を講じながら、団結して小売りや卸に対して協力を求め始めた。「食」を安定的に供給する流通網は欠かせないはずだが、小売り側との温度差は解消し切れていない。

翌日納品の是正が焦点になる
●食品業界の物流の仕組み
翌日納品の是正が焦点になる<br /><small>●食品業界の物流の仕組み</small>

 4月中旬、食品業界の話題をさらう動きがあった。味の素が小売りや卸から注文を受けて翌日に届けていた加工食品や調味料の多くを翌々日納品に切り替えたのだ。サプライチェーンの中で立場が強い小売りの要請で、注文を受けたらすぐ持っていくのが近年の業界の慣行だったが、一時的に覆した。

 背景に味の素を中心にハウス食品グループ本社やカゴメなど食品5社が4月1日に設立した共同配送会社「F-LINE」の存在がある。配送拠点や車両の共同利用でコストを下げる一方、納品先の小売りや卸に対し“団体交渉”できる組織をつくるという狙いが透ける。小売り側も意識せざるを得ない。

 新会社設立を前に、味の素は人手不足が激しくなるゴールデンウイークに翌々日納品にするよう求めた。取引先の多くは理解を示し、連休を待たずに翌々日納品が始まった。味の素幹部は言う。「物流は限界。不退転の覚悟で納品期限の延長を求めた」

 ハウス食品グループも翌々日への移行を検討するなどF-LINE参加社の動きは急だ。ただ味の素の訴えは連休までに限って認められた。お盆を控える夏に向けて再度の翌々日納品を訴え、恒久的な対応にするよう求めている。

 食品メーカーは多くの場合、午前中に注文を受ける。そこから物流子会社や外部の物流会社に出荷を依頼し、翌日午前中に小売りや卸の物流センターに商品を届けるのが一般的だ。こうなるとトラック運転手は深夜や早朝に作業せざるを得ない。慢性的な人手不足の中、徹夜作業に応じる運転手の確保はいよいよ限界に達している。

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