ノーベル賞学者である本庶佑・京都大学特別教授が10日、京都大学で異例の記者会見を開いた。抗がん剤「オプジーボ」の収益の還元が十分でないとし、小野薬品工業に約1000億円を要求する。小野薬品は協議を続ける構えだが、対立が長引けば産学連携の機運の高まりに冷や水を浴びせかねない。

<span class="fontBold">本庶氏は自ら設立した研究支援基金への寄付を要求する</span>(写真=共同通信)
本庶氏は自ら設立した研究支援基金への寄付を要求する(写真=共同通信)

 本庶氏のノーベル賞の生理学・医学賞の授賞理由となったのは「PD-1」という蛋白質。1992年に同物質を発見した本庶氏は、2003年7月に小野薬品と共同でがん治療法に関する特許を出願した。

 小野薬品はこの特許を基に開発したオプジーボを14年9月に国内で発売。米国では小野薬品からライセンスを受けた米ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMS)が承認を取得し、世界で累計1兆7000億円を売り上げる大型医薬品となった。

 問題となっているのはこの特許に対して小野薬品から本庶氏に支払われるライセンス料だ。小野薬品と本庶氏は06年10月にライセンス契約を交わした。ただライセンス料率が1%以下と低かったことから、11年に本庶氏側が料率の見直しを要請した。

 13年には小野薬品から修正案が提示されるが、合意には至らず現在に至る。18年には小野薬品は一括払いを提案するも本庶氏が拒否。こうして交渉が平行線をたどる状況に不信感を募らせ、今回の記者会見に至った。

 本庶氏の不満は対価の額が極端に低いことだ。06年の契約に基づいて本庶氏に支払われたのは累計26億円(供託されて本庶氏は受け取っていない)。

 一方、小野薬品の公表資料によると、日本での売上高が累計で約2890億円とBMSからのロイヤルティー収入が約1180億円、訴訟で和解した米メルクからの収入約270億円の合計で約4300億円を超える。

次ページ 小野薬品「かい離大きい」