国内ビール5位のオリオンビールが野村ホールディングスと米カーライル・グループに買収されることが決まった。筆頭株主のアサヒビールは10%の出資比率を維持する方針で、付かず離れずの関係は続く。通常ならば国内同業によって救済されそうなオリオンがアサヒに買収されなかった背景に、海外での競合がある。

ビールの出荷数量は一度回復したが、再び減少傾向
●オリオンビールのビールの課税済み出荷の推移
ビールの出荷数量は一度回復したが、再び減少傾向<br /><small>●オリオンビールのビールの課税済み出荷の推移</small>
注:ビール大手資料より日経ビジネス作成

 日経ビジネス電子版が1月18日にスクープとして報じた通り、オリオンは野村と米ファンドのカーライルによるTOB(株式公開買い付け)の受け入れを23日に発表した。爽やかな味と沖縄色が豊かなイメージがあり、知名度も高いオリオンだが、筆頭株主であり、業務提携もしているアサヒ幹部は淡々と受け入れた。「本気でオリオンと組むなら、そもそも出資を10%に抑えていない」という。

 オリオンの買収スキームでは、野村側とカーライルが出資する買収目的会社が、TOBにより3月にかけてオリオンの株主から株式を買い取る。資金は570億円程度。アサヒはTOBに応じるが、買収目的会社への再出資によって、現状の出資比率を維持する方針だ。

 オリオンの2018年3月期の売上高は283億円。規模は小さいが、沖縄県内で高シェアを保つ。営業利益率は10.75%と高く、国内大手メーカーが買収してもよさそうだ。株主が高齢化しているオリオンはかねて安定株主を探していたが、アサヒの幹部は「オリオンは経営の立て直しが必要」と終始、距離を置いていた。別のビール大手幹部も「買収は考えられない」と話した。

 各社がオリオン買収に乗り気でない理由の一つが、1972年に沖縄県が本土に復帰するに当たり、制定された復帰特別措置法の存在だ。沖縄県の産業振興と住民生活の安定を目的とし、ビールは県内出荷分を対象に酒税の20%を軽減している。措置法は時限のため、期限が近づくたびに地元政財界は政府に延長を求めてきた。アサヒの関係者は「措置法があるからオリオンは高い利益が出る。ファンドは理解しているのだろうか」と指摘する。

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