『師弟百景』
井上理津子著
1760円(税込) 辰巳出版

庭師、刀匠、江戸切子職人、宮大工……。師弟の関係や世代間ギャップなど、伝統技術をつなぐ現場の姿を、思いとともに伝える。

 伝統工芸の師弟関係といえば「一子相伝」、つまり、長年培ってきた技術を我が子だけに伝承する形が多いが、そうではない師弟関係だってある。外から飛び込んできた若者に何を伝えるのか、そして若者は師匠から何を感じとるのか。説明書が存在しない世界で、双方が思いを嗅ぎとるように技術を伝え、学んでいく。

 16の師弟関係を見つめた書籍に詰め込まれている、それぞれの師匠の言葉は、積み重ねてきた年月の厚みをいや応なしに感じさせる。仏師の松本明慶さんに、仏様を彫るにあたって綿密な設計図があるのかと問うと、「私は仏さんをつくろうと思って彫っていくのではなく、木から要らないところを削り落としていくと、そこに仏さんがいはるんですね」と返ってくる。

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日経ビジネス2023年5月29日号 85ページより目次

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