
伊澤理江著
1980円(税込) 講談社
偶然に知った漁船事故の取材を始めたジャーナリストが直面する取材拒否と不条理の壁。屈しない姿勢が闇を照らす。
2008年6月23日、千葉県沖で漁船第58寿和丸が沈没し、17人が亡くなった。これだけの人が亡くなった事故だが、どれだけの人が記憶しているだろう。22年4月の知床遊覧船の事故は忘れられない事故だが、漁船の事故は記憶に残らない。
19年9月、著者は、ある取材で福島県いわき市に行く。そこで県漁連会長の野崎哲氏に会う。彼は酢屋商店というカツオ漁の網元の社長である。彼の口から漁船沈没事故について「潜水艦にぶつかったんでねぇか」という話が出た。事故から10年以上が経過しているにもかかわらず野崎氏は、調査委員会が出した「波による沈没」という事故原因に疑問を持ち続けている。漁船は、今も5000m以上の深海に沈んだままだ。
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