
桐野夏生著
上1760円・下1650円(ともに税込)
毎日新聞出版
株価が右肩上がりを続ける時代、2人の女性は自らの人生を切り開こうとしながらも、あらがいきれない波に巻き込まれていく。
1982年生まれの自分はバブルを体感していない。就職氷河期の終盤に就職したこともあり、大ざっぱに言えば、下り坂を歩きながら転倒したら自己責任だと放っておかれるのが社会である、という不信感が、常に体の中にある。
桐野夏生は今という時代を嗅ぐ作家で、社会の片隅で呼吸がままならなくなった人間の息づかいを書き取る。安易に救いに導くのではなく、息づかいを凝視する。結果として、この社会を問う視線が内包される。このままでいいのか、なぜ怒らないのか、と突きつけられる。
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