
ジェレミー・デシルヴァ著
2860円(税込) 文芸春秋
二本の足で歩くことは人類に何をもたらしたのか。古人類学者であり、足と足首の専門家でもある著者が二足歩行と進化の謎に迫る。
著者は、古人類学者。古人類学とは、私たちはなぜこのような存在なのか、という人類にとって「最大にして最も大それた疑問を扱う科学」であり、本書は「いかにして二足歩行がわれわれを人間たらしめたか」を、化石記録や人体の解剖学的変化への考察から描き出す。
人類は600万年前に、チンパンジーなどの類人猿と枝分かれした。私たちはチンパンジーから進化したのではないのだ。最も有名なヒトの化石であるルーシーは、エチオピアで二足歩行をしていた。著者は、その化石を見て感動し、彼女が生きていた時代に行き、1日を共にしたいと考え、その後ルーシーの祖先を探す旅に出る。オバマ米元大統領もルーシーの化石を見て「世界中のあらゆる人々が人類という一つの環の一部なのだ」という思いになったという。
二足歩行が人類にもたらした恩恵も詳しく説明される。両手で子どもを抱きかかえざるを得ないため、共同体が発達したこと、エネルギー効率が高いために余剰エネルギーが生まれ、脳が発達したこと、歩きながら息を吐くことができるために言語が発達したことなど。多様な種のヒトが二足歩行をすることで様々な能力を獲得し、「歩くことで新たな土地へと移動していった」。そして最後に残ったのがホモ・サピエンスだ。
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