『経済安全保障』
北村滋著
2200円(税込) 中央公論新社

世界の最先端技術が軍事転用される危険性が高まる中、経済スパイの捜査に携わってきた著者が、安全保障の危機に警鐘を鳴らす。

 警察庁の外事情報部長、内閣情報官など情報畑を歩み、国家安全保障局長まで務めた著者による、素人でも理解が容易な新時代の安全保障入門本だ。ロシアのウクライナ侵攻が始まってから、日本の安全保障をめぐる意識は一変したと言えるだろう。日本国憲法が出発点とする「諸国民の公正と信義に信頼する」ことがもはやできないのではないかということが明々白々に示されたからだ。もちろん、戦争は決して珍しい事象ではない。世界における侵略や紛争は枚挙にいとまがない。ただし、現代と冷戦期が決定的に異なる点は、もはや東側陣営は存在せず、中国や北朝鮮の脅威に直面する日本としては、非同盟諸国のようになりたいという「憧れ」を抱くことにも現実味がないということだ。非同盟国となるということはより軍備負担が重くなるということしか指し示しておらず、そのうえウクライナのように周辺国に侵攻される危険は十分にある。

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日経ビジネス2022年7月4日号 66ページより目次

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