『塞王の楯』
今村翔吾著
2200円(税込) 集英社

第166回直木賞受賞作。秀吉没後、大津城の石垣改修を命じられた職人集団と、攻める側の鉄砲の鍛冶集団との戦いを描く。

 もしかして、究極の仕事術の本なのではないか。

 読んでいる途中、そんな思いが頭をよぎった。そして、読むほどにそれが間違いじゃないことが分かった。

 本作は、直木賞受賞作である。言うまでもなく、小説賞の最高峰の一つだ。小説として、極めて面白い。けれども、この小説の中で死力を尽くす、石垣積みの職人集団穴太(あのう)衆と、彼らと敵対する戦国時代最強の鉄砲鍛冶集団国友(くにとも)衆も、あまりに描かれ方がリアルで、まるでNHKの『プロフェッショナル仕事の流儀』を見ているかのようだ。彼らが作中で自分たちの仕事を成し遂げようとすればするほど、我が身を振り返り、自分はこれほどまで仕事に真剣だろうかと、ある種の劣等感を覚えてしまうのだ。

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日経ビジネス2022年5月2日・9日号 69ページより目次

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