
スコット・ギャロウェイ著
渡会圭子訳
1980円(税込)東洋経済新報社
コロナ禍を経てGAFAがより強大となる一方で格差は拡大し、従来の資本主義の破壊が進む現状を指摘。ポストコロナの社会を問う。
著者は起業家でビジネススクールの教授も務める成功者だ。そのため本書もありがちなGAFA礼賛本かと思ったが、違った。その理由は彼の生まれにある。著者の父は、大恐慌時代のスコットランドで虐待を受けて育った。父の母は父のカネをたばこと酒に換えるような女性だった。そこで父はリスクを承知で米国に渡った。著者の母は末の兄弟2人を孤児院に残し、110ポンドを靴下の中に隠し、米国に来た。2人は懸命に働き、成功者となる著者を育てた。著者の原点には、父母が抱いた米国の資本主義への信頼がある。
「成功への野心とエネルギーを生産的な労働に振り向けることで、利己心を自身の富や利害関係者の価値へと変えることができる」という「自己中心性が最終的に他の人の利益になる」のが、資本主義の本質だと彼は考える。だが、その資本主義が破壊されようとしている。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1001文字 / 全文1496文字
-
【春割】日経電子版セット2カ月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
【春割/2カ月無料】お申し込みで
人気コラム、特集記事…すべて読み放題
ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「CULTURE」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?