
カトリーン・マルサル著 高橋璃子訳
2310円(税込)河出書房新社
経済は自己の利益追求の結果とする経済学を新しい視点で捉え、欧米各国で評価された。原書の発売から9年を経て邦訳され話題に。
「もしもリーマン・ブラザーズがリーマン・シスターズだったら、あのような形での金融危機は起こらなかったはずだ」。危機当時の仏財務大臣(現・欧州中央銀行総裁クリスティーヌ・ラガルド)はそう言ったそうだ。半分ジョークで? いや、かなり本気だったのではないか。
世界のあちこちで近代資本主義に対する批判が噴出。パラダイムシフトが起こる、新しい資本主義が生まれると誰もが考えたあの頃……。ところがどうだろう。今に至っても根本的なことはなぁーんにも変わっちゃいない。拍子抜けするほどに。
消え去ると思われた経済の仕組みが「奇跡的な図太さで」生き残ったのはなぜか。その主たる理由として著者はジェンダーを挙げる。金融市場の暴走はもちろん、経済格差の拡大、環境問題、介護従事者不足といった社会の様々な問題にジェンダーが深く関与しているというのだ。
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