
新谷学著
1760円(税込)光文社
「週刊文春」や「文芸春秋」の編集長を歴任する著者が、出版の新たなビジネスモデルの構築や危機管理、働き方などについて語る。
「スクープを獲る」から「スクープで稼ぐ」への戦略転換を主導した週刊文春の前編集長のリーダー論。
出版不況といわれて数十年。雑誌のような伝統的な紙媒体はデジタル化の直撃を受けた。販売収入と広告収入、ともに下落を続けるのは必定だ。逆風の中でどう稼ぐか。売り上げが減ると、まずはコストを下げるのが「合理的」となる。現にライバル誌では、余計な取材費をかけず、ターゲットである高齢男性の興味関心を引くコンテンツをうまく編集するというルーティンが定着している。
週刊文春はデジタルに舵(かじ)を切った。しかし、スクープ記事という軸足は変えなかった。スクープはやたらと手間暇がかかる。独特のノウハウも必要になる。例えば、河井克行・案里夫妻の公職選挙法違反のスクープでは、ウグイス嬢への法定金額を超える謝金が事実かどうかを確かめるために、ウグイス嬢を務めた13人に対して現地広島で同時直撃を試みている。一人ずつ順に回るとタイムラグが生じ、ウグイス嬢が口裏を合わす可能性があるからだ。
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