『ヒトはなぜ「がん」になるのか』
キャット・アーニー著
矢野真千子訳
2475円(税込) 河出書房新社

サイエンスライターである著者は、がん細胞と生物の進化の関係に着目、その特性を捉えた新たな治療法を考えていく。

 私の父母はがんで亡くなった。兄姉も40代で共にがんに倒れた。世界保健機関(WHO)によると2018年度のがんによる死亡者は世界で約960万人、日本で約38万人。だが、私たちはいまだにがんを克服できない。なぜ人はがんになるのか。本書を切実な思いで読んだ。

 著者は「がんは、一個の細胞に遺伝子変異がたまり、増殖が止まらなくなるところから始まる」との定義に疑問を呈する。この定義に従って科学者たちは細胞内の不良遺伝子の解明に多額の費用と時間をかけてきたのだが、がんとは想像以上のカオスであることが分かっただけだ。

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日経ビジネス2021年12月6日号 98ページより目次

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