
トッド・ローズ、オギ・オーガス著、大浦千鶴子訳
1760円(税込)三笠書房
著者はハーバード教育大学院の研究者。型破りな成功を遂げたダークホースと呼ばれる人に取材し、彼らの思考法を問う。
読み終えて、今だに迷っている。この考え方が広まって、一般化してしまうと、企業の経営が成り立たないのではないかと思った。個人が自分の才能の開花を追求することは、企業という一個のシステムの中で、プラスに機能するとは限らないからだ。たとえば、鉄道会社の日々の鉄道運行において、運転手が自らの本来の個性と才能を発揮する方向に行き、線路の横のたんぽぽの美しさに目を取られて減速してシャッターを切る行為は、組織というか、社会的に許される行為ではない。定時運行という顧客との約束が全うされないからだ。みんながみんな、いわゆる「好きなこと」を追求してしまっては、社会は成り立たないのではないか。社会どころか、小さな会社すら、成り立たなくなる。
けれども、この原稿をこうして書いているのは、小さな企業の経営者としても、そして一人の人間としても、この本に書かれている内容が正しければすばらしいと考えるからだ。
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