『自由になるための技術
リベラルアーツ』

山口周著
1760円(税込) 講談社

宗教や国際政治、歴史、異文化体験など、多岐にわたるテーマを識者らと語り合い、新たな時代を生き抜くために必要な力を考える。

 リベラルアーツを直訳すると「自由になるための技術」。「不自由」な状態とは何かを考えるとその意味合いがはっきりしてくる。リベラルアーツの対概念はメカニカルアーツ(機械的技術)だ。

 ローマの奴隷は今風に言えば「従業員」。奴隷といっても生身の人間、主人がうまく使いこなすためにはアメとムチが必要だった。賃金はもちろん、日常生活についても、主人はわれわれが想像する以上に奴隷の働き方に気を配っていたらしい(この辺、本書に登場するヤマザキマリ氏に詳しく聞いてみたい)。奴隷にも手段──例えば仕事のやり方についての工夫──については一定の自由があった。メカニカルアーツにたけていることが優れた奴隷の条件だった。

 リベラルアーツは目的選択の自由を問題としている。自分が何をなすべきか、それが自らの自由意志に委ねられているという意味での自由だ。目的設定や価値判断は主人の専権事項だった。奴隷が奴隷である理由は、自分以外の誰か(=主人)が決めた価値基準への従属を強制されていることにある。他者から与えられた価値基準から自由になる。そこにリベラルアーツの本質がある。

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